
【連載】あの人と、あの街で、歩きながら話すこと#3-1|大崎上島の海辺で、夢のような景色に出会う
広島市内で建設コンサルタントとして働きながら、建築家・デザイナーとしても活動する鈴木知悠さんが、川路高史さんとともに、大崎上島までバードウォッチングに。今回は、大櫛海水浴場で海鳥を追いかけます。
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広島市内で建設コンサルタントとして働きながら、建築家・デザイナーとしても活動する鈴木知悠さん。そんな鈴木さんが、今いちばん気になる人と一緒に、広島県内のあちらこちらを歩きながら、これからの暮らしについて肩肘張らずに考えてゆく本連載。
さて、なんでも鈴木さんは最近、バードウォッチングに凝っているのだとか。双眼鏡を片手に無心で鳥を眺める時間が、忙しい日常のリセットになっているそうです。
というわけで今回からは、街歩きから少しはなれて、自然のなかへ。パートナーとしてご同行いただいたのは、アウトドアショップで働きながら、朝活ランニングコミュニティ「7hours club」を主宰する川路高史さん。自然と暮らしをめぐる旅を、全3回でお送りします。
鳥を探すときは、「目」ではなく「耳」を頼りに
バードウォッチングの舞台として選んだのは、瀬戸内海の真ん中に浮かぶ大崎上島。まずは広島駅から車で竹原港をめざします。
実は鈴木さんと川路さんは、この日が初対面。とはいえ、共通点も決して少なくないふたり。高速道路を走る車内でも、自然と会話が弾んでいきます。
鈴木さん:僕は山梨育ちなんですけど、川路さんはずっと広島なんでしたっけ?
川路さん:出身は大分なんです。大学で広島にやってきて、今が26歳だから……、今年で8年目とかですかね。
鈴木さん:若いなあ……! 休みの日とかは、何をされてるんですか?
川路さん:登山やトレイルランが好きなので、時間があれば山に入っています。家から走って三滝山まで登ったり。アウトドアショップでも働いていますし、わりと自然は好きな方なのですが、バードウォッチングっていう発想は今までぜんぜんなくて。鈴木さんは、どうしてはじめたんですか?
鈴木さん:近所でたまたま「探鳥会」っていう、「みんなでバードウォッチングをしましょう」みたいな会が開催されていて。何気なく参加してみたら、予想外に面白かったんでよ。
ベテランの参加者の方が「目で探すんじゃなくて、まず鳴き声を頼りに耳で探すんだよ」とか教えてくれたり。なんていうか、ちょっと「ハンティング」みたいなところがあるんですよね。それで自分でも、ちょっといい双眼鏡を買ってみたりして。何事もかたちから入るタイプなので(笑)。
あれこれ話しているうちに、竹原港へと到着。ここからは車ごとフェリーに乗り込んで、20分ほどの短い船の旅です。
フェリーに揺られながら、「鳥談義」はまだまだ続く
鈴木さんと川路さんは、甲板の外へ。瀬戸内海の穏やかな潮風のなか、フェリーはゆっくりと港を離れていきます。
川路さん:素朴な質問なんですけど、鳥を見つけたら、まずはどこを見るんですか?
鈴木さん:まずは大きさかな。バードウォッチングの世界では、メジャーになる鳥がいるんです。
川路さん:メジャーになる鳥……?
鈴木さん:たとえば、僕が鳥を見つけたとして、川路さんに「あそこに30センチくらいの鳥がいますね」といっても、距離があるとわからないじゃないですか。
川路さん:たしかに。
鈴木さん:だから、「あそこにスズメくらいの鳥がいますね。色は緑で、目元はちょっと白いです」といえば、「あ、それならメジロかな」とわかる。つまり、大きさが鳥の種類を判断するための、一番最初の基準になるんです。スズメ以外だと、ムクドリとかカラスもメジャーになる鳥ですね。
川路さん:ちなみに鈴木さん的に、「これが見つかったらラッキー」みたいな鳥っているんですか?
鈴木さん:うーん、なんだろう……。やっぱりカワセミかなあ。あとはキビタキも嬉しいですね。鳴き声がすごい綺麗なんです。大きさはスズメくらいで、黒い羽に、顔に黄色い眉毛みたいな模様があって。
川路さん:そういう鳥の特徴って、自然と覚えていくものなんですか?
鈴木さん:結構覚えられるもんですよ。やっぱり、自分で見つけたっていう感動があるから。
カラスにだって、種類も表情もあるんです
垂水港へとフェリーが到着すると、ふたりは早速あたりを散策しはじめます。
さっきまでバードウォチングの話をしていただけに、気がつけばどちらともなく鳥の姿を探していました。
鈴木さん:防波堤のところに、カラスがたくさんとまっていますね。くちばしからおでこにかけてのラインがなだらかなのがハシボソガラスで、そこがボコッと出っ張ってるのがハシブトガラスです。ちょっと双眼鏡で覗いてみますか?
川路さん:おお、ほんとだ!カラスにそんな種類があるなんて、考えてもみませんでした。そもそも、こうやって鳥の表情をまじまじと観察するのも、はじめてかもしれません。なんか、だいぶ楽しくなってきました。
鈴木さん:バードウォッチングとはぜんぜん関係ないけど、やっぱり海も綺麗ですね。魚も結構泳いでる。
川路さん:フェリーを乗る少し前まで、車で山道を走っていたと思うと不思議ですよね。この海と山との距離の近さは、広島の特徴のひとつな気がします。
鈴木さん:ですよね。それに広島って、基本的にアベレージが高いと思うんです。海も山も「日本でここだけ!」みたいな特別なものはないけれど、こうやって当たり前に綺麗だし、かと思えば街もそこそこひらけている。川路さんも県外の出身だから、きっとわかってもらえると思うんだけど。
川路さん:そう思います!そういう魅力は、もっと発信していけたらいいですよね。
夕暮れの海辺で、じっと双眼鏡を覗き込んで
さて、ここからは再び車で、本日の目的地である大櫛海水浴場へと向かいます。
浜辺に到着した頃にはもう夕方。潮も引きはじめ、海鳥を観察するには絶好の時間帯です。
鈴木さん:今日は川路さんの分の双眼鏡も持ってきているので、これ、使ってください。
川路さん:ありがとうございます!これを首から提げるだけで、ちょっとワクワクしてきますね。さっきハンティングと仰ってましたが、「見つけてやろう!」みたいな気持ちが湧いてくるというか。
鈴木さん:普段、カメラとかで見ている画像って、フレームが四角いじゃないですか。でも、双眼鏡だと視界は丸くなる。それがちょっと特別な感じがするんですよね。世界を覗き込んでいる感じというか、見ている対象にすごく中心性が生まれるというか。
川路さん:でもほんとに、双眼鏡で見てみると、当たり前の景色もぜんぜん違った印象になりますね。これ、めっちゃ面白いかも……!
川路さん:あ!あそこに何かいますよ。
鈴木さん:たぶん、あれはダイサギじゃないかな。
川路さん:お!低いところを飛んでるのもいますね。あれはカモメとか?
鈴木さん:あれもサギですね(笑)。
川路さん:さっきのとは、ちょっと違う気もするんですけど。
鈴木さん:足先が靴下を履いてるみたいに黄色かったらコサギなんだけどなあ。そうじゃないから、やっぱりダイサギか、それがチュウサギかもですね。
川路さん:難しい……(笑)。
鈴木さん:うーん、それにしても思ったより海鳥が来てないですね。ほんとは、もっと鳥のウンチクとか話したかったんだけど(笑)。
川路さん:いやでも、こうやってるだけで、めちゃくちゃ楽しいですよ。双眼鏡を除いている間は、余計なことは何にも考えずにいられるし。マインドフルネスじゃないですけど「いまここ」にすごく集中できる感じがしました。
鈴木さん:そうなんです!だからバードウォッチングって、鳥が見つからなくても、ぜんぜんガッカリはしないんですよね。それに今日はまだまだ初日ですから。
川路さん:うんうん。この夕暮れの海の景色だけで、大満足です。
鈴木さん:ほんとに。なんだか夢の中にいるみたいな景色ですね。
夕暮れの光が少しずつ薄れていくなか、海辺をあとにするおふたり。けれど、島の旅はまだまだ続きます。次回も鈴木さん、川路さんとともに、大崎上島をめぐっていきます。
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